お陰様で本講座は無事終了いたしました
   
  催眠現象自体は人類の歴史と共に存在していたと言われていますが、現在の催眠という形になったのは、ウィーンの医師アントン・メスメルがきっかけです。メスメルは、人体には動物磁気なるものが流れていて、その動物磁気の流れが滞ると人は体調を崩したり、病気になるのだと主張したのです。

メスメルは自らを動物磁気の伝道師と名乗り、「私が手をかざすと動物磁器の滞りが正常に戻り不調は改善される」と告げたあと、患者に手をかざすとたちまち眠りに落ちていくものや身体を震わせながら恍惚状態になる者が出てきました。そして、目を覚ました患者は不調が改善されているといった不可思議な現象が起きていたのです。

この治療法はメスメルの名前に由来し、メスメリズムと名付けられました。

しかし、このメスメリズムに対し、多くの研究者が異を唱え、著名な研究者たちの追及によって、最終的には、動物磁気などというものは存在せず、患者たちは暗示効果によって改善されていたのだという結論に達します。

そのとき、メスメリズムに意を唱えた研究者の一人にスコットランドの医師ジェームス・ブレイドがいました。

ブレイドは、花瓶の模様を長時間見つめさせることによって、睡眠様状態を作り出し、メスメルの動物磁気治療を受けた患者たちと同じ現象を起こしました。そして、メスメリズムが暗示であり、動物磁気など存在しないことを証明して見せたのです。

このときの睡眠様状態をギリシャ神話の眠りの神「ヒプノス」に由来し、ヒプノシス(hypnosis)と名付けました。そしてヒプノシスが日本で蔓延し始めるころ、ヒプノシスが「眠りを催す術」と訳され、日本では「催眠術」と呼ばれるようになったのです。

その後、催眠が徐々に進歩する中、アメリカで一風変わった催眠を行う精神科医がいました。

その人の名をミルトン・H・エリクソンといいます。


エリクソンは、従来の催眠誘導のように、形式だった工程を踏まえず、ときには普段の会話だけで催眠現象を起こすような天才的な潜在意識の使い手だったのです。

たとえば、 ベッドの上で痛みに苦しむ患者の痛みを鈍磨させる催眠を施すとしましょう。

元来の催眠なら「ラポール構築」「被暗示性テスト」「催眠導入」「催眠深化」といった形式だった作業を終えたあとで痛みを操作する暗示を与えます。これに対し、エリクソンは、ベッドの下に虎がいるという話しを患者に聞かせ、アドレナリンの分泌を促すことで痛みを軽減させたのです。

当時、形式だった催眠誘導を行わず、普段の会話だけで催眠現象を起こすエリクソンのやり方は非常に画期的でした。そして、このエリクソンが行っていた催眠を、元来の催眠と区別するために「現代催眠」と呼ぶようになったのです。

また、潜在意識を誘導することにかけては天才的だったエリクソンの催眠誘導は、元来の催眠のように威圧的な暗示のかけ方ではなく、クライアントが反発しない、いや、反発のしようがない誘導によって、いままでの催眠術では誘導できなかったクライアントを催眠に入れたり、ときにはクライアントの質問に対し、相づちだけで催眠に誘導したりと、たくさんのエピソードが伝えられています。

当初、「エリクソン博士の催眠は神の領域であり、一般の人間には真似など出来ない」と言われていたのですが、やはりそこには潜在意識の性質に基づき、心理学的に裏付けされた誘導テクニックが存在していたのです。

このエリクソンの催眠を誰でも習得できるように体系化したものが、いわゆる現代催眠です。
 
   
   
  催眠状態には深さの段階があり、通常はいろいろな催眠現象の成否によって催眠深度を推察していきます。

たとえば、「運動支配」の現象が起きれば類催眠に到達していると推測し、「筋肉支配」の現象が起きれば軽催眠に到達していると推測します。「感覚支配」や「感情支配」の現象が起きれば、中程度の催眠、そして「記憶支配」の現象や「幻覚支配」の現象が起きれば深催眠に到達しているといったよに、催眠現象によっておおよその催眠深度を推測していきます。

当然、被験者が深く安定した催眠状態に入っていれば、どんな暗示にも反応するものですが、何しろ人の心が相手ですから、どうしても性質的に受け付けない暗示が出てくることもあります。

たとえば、深い催眠に入り、記憶支配の現象や幻覚なども発生しているのに、「悲しくて涙をこぼす」という暗示に反応しないといったようなことは稀に起こります。

ただ、これは性質的にときどき苦手な現象があるということであって、おおかたのものは浅い催眠現象から深い催眠現象へと順番に起きていくものです。

それが、現象を起こす暗示を順番通りに進めているにも関わらず、ひとつ成功したと思ったら次は失敗して、また成功したと思ったら次は失敗するといったような、かかっているのかかかっていないのか、はっきりしない催眠誘導を行う催眠術師が一定数います。

そして、この催眠術師たちには一貫して共通するところがあるのです。

その共通する部分とは、施術前の会話の中で、「自分が嫌だと思った催眠には反応しないので安心してください」と告げるところです。

これ、優秀な催眠術師は絶対に言いません。

なぜなら、施術の前に「自分が嫌だと思った催眠には反応しないので安心してください」などと言ってしまったら、催眠現象を起こす暗示を与える度に、被験者は「これは自分にとって嫌な催眠?」「これは嫌ではない催眠?」などと、ひとつ一つの暗示に対し、反応するかどうかの判断を被験者自身がジャッジしてしまうようになるからです。そして、催眠の流れを無視したような、メリハリのないダラダラとした催眠誘導になってしまうのです。

これは、催眠術師のほうが自分の発言や行為によって相手の中で何が起こるかまったく計算ができていない証拠です。無知な催眠術師はこのようなことが平気で言えるのです。

優秀な催眠術師は、たとえニュアンスは同じ安心させる言葉を投げ掛けたとしても、ひとつ一つの暗示を被験者がジャッジしてしまうような言葉を掛けたりは絶対にしません。

これは、主導権を被験者に渡すとか渡さないとかといった綺麗事ではなく、これでは質の良い催眠が作れないのです。

暗示を与えた結果、それに対してどんなイメージをするのか、そして潜在意識はどんなふうにレスポンスを返してくるのかといったことに関しては被験者に委ねても構いませんし、そうするべきだと思います。

しかし、催眠現象自体が起こるかどうかを被験者に委ねてしまったのでは不完全な催眠になってしまい、本来、催眠状態から得られるはずのメリットすら得ることができず、被験者にとっても良い催眠ではなくなってしまうのです。

最近は、現代催眠を学び、催眠を職業としてやられている方も増えてきました。国内の先生から学ぶ人もいれば、外国まで足を運び、知名度の高い団体から学ぶ人もいます。中には書籍などを参考に独学で学ぶ人もいらっしゃいます。

そして、その現代催眠を専門でやられている人の多くが、施術前、そして施術中に余計な言葉をたくさん付け加えて催眠の質を下げる傾向にあります。また、悲しいことに、誘導者本人は催眠の質を下げていることに気づいておらず、逆に最先端の催眠を提供している気になっていることが少なくないのです。

上記の例のように、
施術前の言動によって中途半端な催眠術になってしまうことがあれば、施術開始直前に言った誘導者のひと言によって、かかるはずの被験者が催眠にかからなくなることも珍しくないのです。

これでは何のために現代催眠を学んでいるのかわかりません。

現代催眠を学ぶ最大の目的は、潜在意識の性質を知ることです。自分の言動や行為によって、相手の中で何が起きるかを学ぶことです。
 
     
   
  10月シーズンセミナーは、主に戦略的心理誘導を学び、リード(導きの能力)を習得していきます。

【主なカリキュラム】

●キャリブレーション
●アイ・パターン
●バーバル・リサーチ
●リード・システム
●アクセシング・キュー
●チューニング
●ミラーイング
●ペーシング
●エンパサイズ
●バーバル・チューニング
●ボイス・チューニング
●ルッキング・チューニング
●ユーティライゼーション
●バック・トラッキング
●ミルトン・モデル
●メタモデル
●リカピチュレーション
●メタファー
●アナロジー
●アナログマーキング
●インタラプト
●アンカーリング
●ダブルバインド
●リンキング
●スプリッティング
●イエスセット
●ノーセット
●トゥルーイズム

本講座では、上記の項目を学んだあと、実技練習の項目で現代催眠の誘導技法を身に付けていきます。現代催眠の催眠導入法では代表的な12345エクササイズ導入法を学びますが、12345エクササイズ導入法はトランスに対するパワフルさが不足しています。

というのは、エリクソンは最初に古典的な催眠を身に付け、徐々に個性を活かしたいわゆるエリクソン催眠に変化していったわけなのですが、それでも催眠誘導の際には、エリクソンの個性を活かしながらもトランス導入の大事な部分はしっかりと保っていました。

それなのに、エリクソンの弟子たちによって世界中に広められたエリクソニアの催眠誘導は、古典的催眠の要素を払拭する際に、催眠誘導に不可欠な導入プロセスまでそぎ落としてしまい、完全トランスに導く要素が足りなくなってしまっているのです。

だから現在、世界中に広まっているエリクソン催眠は、平均して深い催眠に導ける割合が低いのです。というより、自分が催眠に入っているのかどうなのか、まったく実感がないよな浅いものがほとんどですし、実際にかかっていないことも少なくありません。

本講座では、12345エクササイズ導入法の利点はそのまま活かし、そぎ落とされた催眠トランス生成のためのプロセスを含めた催眠誘導研究所独自の催眠導入の手法を身に付けていただきます。

また、潜在意識とそこにアプローチをするスーパーコミュニケーションの技法からリードのテクニックまで学んでいきます。これにより、催眠誘導の技法をスキルアップさせることはもちろん、日常生活を有意義に送るためにも役立つはずです。

この講座の受講を希望される方は、下記のお申し込み方法に従い申し込みを行ってください。
 
     
   
     
 
日時 ・2024年10月26日(土曜日)午後1時より開催
場所 ・東京都武蔵野市中町2丁目1-15
会場 ・クリオレミントンハウス武蔵野1階会議室
受付 ・12時30分より開始
講師 ・林貞年
料金 ・44000円
連絡 ・東京オフィス 047-404-8961 ・本社 087-892-3156
 
     
   
     
 
 ※スキルコード(受講資格)
このワークショップのお申し込みは催眠誘導研究所の基礎講座受講済みの方に限ります
 
   
     
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