催眠術の掛け方から催眠療法の技術まで催眠誘導研究所

催眠術の掛け方/催眠誘導研究所・林貞年

◇ NICコーチングの理念と概要

 【確実に目標を達成するメソッド】
 ●イメージや自己暗示では願望は達成できない

あなたはまだ「成功イメージを潜在意識に焼き付ければ夢は叶う」などという話を信じていますか?

「自分を成功者だと自己暗示を毎日繰り返すといつか願望が達成できる」「願い事を紙に書け」「引き寄せの法則」「思考は現実化する」そんな話をいまでも信じていますか?

その結果あなたは少しでも成功に近づけたでしょうか?
何も進歩していない自分に嘘をついたりしていませんか?

そんな方法で成功などできるはずがないんです。

すべては潜在意識を研究していた科学者の勘違いからはじまったのです。

いま、部屋の真ん中で足のかかととつま先を揃えて直立で立ち、前から大型トラックが猛スピードで突っ込んでくるところをイメージしてみてください。

身体が無意識に後ろに倒れませんでしたか?

または、五円玉を三枚重ねて穴の中に糸を通して振り子を作り、人差し指と親指で糸の端をつまみ、五円玉が目の高さにくるように腕を持ち上げてください。そして振り子が「左右に揺れる…左右に揺れる…」と言葉に出して何回も繰り返してみてください。やがて振り子は左右に揺れるはずです。

これは、「潜在意識に到達した思いを現実化しようとする無意識の働き」です。

このイメージしたこと、そして自己暗示をした思いを現実にしようとする潜在意識の働きに気づいた科学者は、「潜在意識に届いた思いはどんなことでも実現する」と早とちりをしてしまったのです。

いま、「頭が痛い…頭が痛い…」と100回繰り返してみてください。本当に頭が痛くなると思います。でも、「私は年収1億になる」と一万回繰り返したところで年収1億になることはありません。なぜなら、あなたの中に頭が痛くなる能力はあっても、年収1億になる能力はまだないからです。

そう、イメージや自己暗示はその人が持っている能力を引き出すことはできても、持っていない能力まで引き出すことはできないのです。

どんなふうに思考しようと、願い事を紙に書いて部屋中に貼ったとしても、存在しない能力で願いを叶えることなどできるわけがありません。

潜在意識を研究していた科学者の早とちりによって、影響された者たちは、ユングの集合無意識などを持ち出し、「コスミックマインド(宇宙レベルの無意識)に願いが到達すれば、どんな願い事も叶う」と飛躍していき、いまだに世の中はその考えに振り回されているのです。

こういった成功理論は現実離れすればするほど民衆の心を引き付けてやまない。

また、現実から離れれば離れるほど、立証不可能になるので、民衆はいつまでも夢を見ることができるのです。

でも、こんな潜在意識の間違った考え方で得をしているのはそれを売っている者だけです。買ったほうは費用と時間を無駄使いしているだけ。

いくら信じても、どれだけ思い込んでも、ないものはどうやっても出てこないのです。

成功イメージや自己暗示で願望が達成できると教え込まれた人たちは、空想の中で安心感を得ているだけで、現実には何も変わりません。

それどころか、間違った成功イメージは自分を苦しめることだってあるのです。


●潜在意識はリソースが揃うまで待たない

よく成功哲学や自己啓発の世界では、できるだけ欲張った結果をイメージしろと教えたりします。

たとえば、「ホームランを打とうとしてヒットになることはあっても、ヒットを打とうとしてホームランは打てない。だから、お金持ちになりたいのなら、できるだけ大富豪になっているイメージをしなさい」などと教えたりするのです。

また、「抽象度を変化させるのはイメージであり、潜在意識は現実も空想も区別がついていないから、大富豪になっているイメージを鮮明に浮かべれば、潜在意識は現実よりイメージのほうに臨場感をもって、それを現実だと思い込む。だから大富豪になった自分をリアルにイメージできたら、あなたは何の努力もしないで大富豪になれる」と言ったりします。

これについては先ほども説明したように、どんなにリアルにイメージしても、あなたの中に無いものは引き出すことができません。

それどころか、下手に欲張ったイメージをリアルに浮かべていると、あなた自身を苦しめることになります。

たとえば、いまあなたが工場で働く月収20万円の生活をしている人だとします。

あなたは成功者になりたくて、毎日、毎日、成功イメージを浮かべています。

そのイメージが、たとえば宝くじを当てて大金持ちになり、仕事も辞めて、大きな豪邸で高い酒を呑み、周りには美女がたくさんいて、お金を振りまいているとします。

そのイメージが潜在意識に影響を与えたとしたら、あなたは毎日が辛くて仕方なくなります。

なぜなら、いまは大金持ちになる能力も、大きな豪邸に住む能力も持ち合わせていないからです。あなたが持っている能力は仕事に行かない能力とお金を使う能力だけです。

そうなると、あなたは美女にお金を使いたい気持ちと、仕事に行きたくない気持ちが衝動的に襲ってきます。

しかし、仕事を辞めたら暮らしていけないから仕事は辞められないし、美女に使うお金も無いので、衝動を抑えつけるために常に心の葛藤が起きている状態になります。

そしてお金が無いジレンマと、嫌で嫌でたまらない仕事に重い体を引きずっていかなければいけない辛い毎日を送るようになるのです。

潜在意識はあなたが望む成功イメージに対し、リソース(素材=能力)がすべて揃うまでじっと待っているわけではありません。

その成功イメージと、現在あなたが持っている能力を照らし合わせて、すでに持っている能力だけが発動してしまうのです。

もしあなたが、自己啓発セミナーや成功者からの助言で教え込まれた「成功者になりたいのなら毎日、成功イメージを浮かべなさい」という洗脳から逃れられず、どうしても成功イメージを浮かべていないと落ち着かないというのなら、その成功イメージの中に浪費とか怠慢的な要素は絶対に入れてはいけないのです。

では、どうすれば人は願望を達成できるのか?


●NIC成功法とは

人は簡単には変われません。それでも、人が変わるための本当のプロセスに添って変化させていけば、どんな人でも変わることができるのです。

努力を空回りさせないためにも、正しいノウハウをあなたの中に落とし込み、無駄のない行動を行ってください。

NIC成功法(ニューロン・インプルーブ・コントロール)では、まず最初に「心の器」について学んでいただきます。

人は、お金も、幸せも、人間関係も、自分が持っている「器」の分だけしか手に入れることができません。でも、自分が持っている器の分は、どんなに嫌がっても入ってきてしまいます。

あなたがお金持ちの器を持っていたら、いくら嫌がってもお金持ちになってしまいますし、貧乏の器を抱えていたら、いくら頑張っても貧乏から抜け出すことはできません。

あなたが人の上に立つ器を持っていれば、表社会であろうと裏社会であろうと、必ず人の上に立てるのです。

もし、あなたが学生で、今の学校でいじめに合っていたとします。

そしてそのいじめが長い間つづき、「いじめられっ子の器」ができてしまったら、そのいじめっ子がいなくなったとしても、他の子にいじめられるようになります。

他の学校に転校したとして、その転校をきっかけに、いじめられっ子の器を変動させることができたら、もういじめには合わないでしょう。しかし、いじめられっ子の器がそのままなら、あなたはどこの学校へ行ってもいじめられてしまいます。

下手をすれば、あなたのいじめられっ子の器が、いじめっ子のいない学校にいじめっ子を作り出してしまうことだってあります。

あなたの人生は、この「心の器」の影響を常に受けているのです。


●潜在意識は器の隙間を許さない

では、器の仕組みを日常の人間関係で説明してみましょう。

たとえば、父親、母親、祖父、祖母、姉、弟、恋人、友達など、あなたの日常に影響を与えている人たちが10人いたとします。すると、あなたの心には10人分の器ができています。

そこでもし、父親が亡くなったりしたら、あなたの人間関係の器には一人分の隙間ができてしまうわけです。

人は心に空間ができると情緒不安定になるため、あなたの潜在意識は無意識にお父さんの代変えをあてがい、器の隙間を埋めようとするのです。

その代替えが親戚のおじさんだったり、学校の先生だったりするわけです。

つまり、あなたの「心の器」(潜在意識)は親代わりになる人を無意識に作り出してしまうのです。

もし、周りに父親代わりになる人が誰もいなかった場合は、器の隙間が自然と埋まっていくのを待つしかありません。

しかし、器の空間が埋まってしまうまでは、情緒不安定な状態がつづくので、とてもつらい思いをすることになります。

これは恋人で考えるとわかりやすいかも知れません。

あなたに好きで好きでたまらない彼氏がいたとします。

朝から晩まで彼氏のことしか考えられないほどの存在だったとすると、あなたの人間関係の器は大半を彼氏が陣取っていることになります。

そんな彼氏に突然フラれたとしたら、あなたの器には大きな空間ができてしまいます。文字通り心にポッカリと穴が開いた状態ですね。それこそ生きるか死ぬかぐらいの精神不和を伴うかも知れません。

器にできた空間は大きければ大きいほど情緒不安定な状態が長くつづくことになります。


●心の器の正体

潜在意識は器にできた隙間を無意識に埋めようとするのだということをご理解いただけたでしょうか?

幸せになりたいのなら幸せの器を拡張していかなければいけなし、お金持ちになりたいのならお金持ちの器を拡張していかなくてはいけません。この「心の器」の拡張が本当の「引き寄せの法則」であって、自己暗示や成功イメージをするのが「引き寄せの法則」ではないのです。

ただ、器といわれてもつかみようがなく、漠然としていて何をどうすればいいのかわからないと思います。

そこで、ここからはわかりやすくするために、「心の器」を「パターン・ニューロン」という名前に置き換えて説明していきます。

パターンは「習慣化」という意味で、ニューロンは「神経細胞」のことです。

パターン・ニューロンでいう習慣化は、毎日の入浴だったり、健康のために行っている毎日のウォーキングといったものとは少し違います。

パターン・ニューロンの特徴は本人が気付いていない無意識の習慣のことをいいます。たとえば、あなたの職場でAさん、Bさん、Cさん、Dさん、と四人のグループができていたとします。

その中でAさんはあなたにとって嫌な存在です。

あなたはAさんの声からしぐさ、そして行動まですべてが嫌いです。

あなたは事あるごとにAさんの陰口を周りの人にあたり構わず言いまくっています。


「Aさんに仕事を頼んだら無視されたわ!!どう思う~」
「Aさんまた明日休むんだって!!やる気あるのあの人!」
「Aさんが私にくってかかってきたのよ!!死ねばいいのに!!」


このように、毎日、毎日、Aさんの陰口を言っていると、いつしかあなたの中で他人の陰口を言う「パターン・ニューロン」ができていきます。

すると次のようなことが起こります。

あなたの天敵はAさんです。

「Aさんさえ職場からいなくなったら私のストレスは無くなるのに」といつも思っている。そこで、念願かなってAさんが退職しました。もうあなたが職場で人の陰口を言う必要はなくなったはずです。

でも、Aさんがいなくなってしばらくすると、今度はBさんの陰口をCさんやEさんに言うようになります。

つまり、「他人の陰口を言う」パターン・ニューロンが一度できてしまうと、その隙間を埋めるために陰口を言う対象を無意識にあてがってしまうのです。その対象がBさんなんですね。

あなたが陰口を言わなければならなくなった原因はAさんでした。しかし、Aさんが原因で生成されたパターン・ニューロンであっても、一旦パターン・ニューロンができてしまうと「心の器」として立派に働いてしまうのです。

潜在意識は器にできた空間を許さないんでしたよね。

Bさんにしたらいい迷惑です。

このように、パターン・ニューロンが引き寄せたにも関わらず、そのうちターゲットになったBさんの声からしぐさ、そして行動までがだんだん腹立たしくなってくるのです。これが否定的なパターン・ニューロンの怖さです。

しかし、Bさんは昨日までのBさんと何も変わっていません。

変わったのはあなたのパターン・ニューロンの隙間を埋めるためのターゲットです。

あなたがもし、世の中に対して愚痴ばかり言っているのなら、いつしか「愚痴を言う」パターン・ニューロンができてしまい、愚痴を言う対象が無くなっても、無意識に愚痴を言う対象を探してしまうということです。

あなたが「私は不幸な人間だ」と他人に同情ばかり求めている人だとするなら、最初は何気ない不幸話をしていても、パターン・ニューロンが確立した時点から潜在意識は不幸話をするための出来事を無意識に引き寄せるようになります。

いつしか自分の身の上が不幸な出来事でいっぱいになっていることに気づくでしょう。

しかし、「もう嫌だ」と思ったところで、パターン・ニューロンの力は強力です。

確立したパターン・ニューロンは潜在的に働いてしまいます。一度できてしまったパターン・ニューロンは意識的にコントロールしない限りいつまでもつづきます。

不幸な出来事を他人の同情を買うために輪をかけて話す。こういったことを繰り返しているうちに、最初は意識的に行っていた大げさな不幸話が、やがてパターン・ニューロンを育ててしまい、自分では回避できない不幸をたくさん引き寄せてしまうようになるのです。

NIC成功法は、この通常は無意識に働いているパターン・ニューロンを意図的にコントロールすることで願望を達成するメソッドです。

意識的なコントロールによって、幸せになるために必要な器を育て、不幸になる器を排除していくといった、極めて現実に基づいた願望達成法なのです。
 
 
●幸福を引き寄せる方法

もしあなたが、本当に苦労ばかりしている人で、「一生懸命に苦労して頑張っていれば、いつか神様が幸せにしてくれる」などと思っていたら大きな間違いです。

苦労の先には苦労しかありません。脳は繰り返しの名人だからです。

でももし、あなたが不幸の器を小さくして、幸せの器を育てることができたら、あなたがどんなに嫌がっても幸せはあなたのところへどんどん入ってくるのです。

NIC成功法の基本的なところで説明すると、他人に感謝の気持ちを持つことがわかりやすい一例になると思います。

他人が自分のために何かをしてくれるというのは、考えてみればすごいことです。

だから他人の行為には心をこめて「ありがとう」と言う。

つまり、「私は不幸だ」という言葉の代わりに「ありがとう」を言うように努力するのです。

最初は努力でも、「ありがとう」のパターン・ニューロンが確立してくれば、あなたは嫌がっても「ありがとう」を言わなければならない出来事がたくさん周りで起きてくるようになります。

また、他人に対する感謝の気持ちを持てば持つほどあなたの周りには人が集まってきます。

人は感謝されることで存在感を味わえるからです。

人が寄ってこない人はお金も寄って来ません。お金は人が管理しているからです。

ここで勘違いしてはいけないのは、「不幸話を他人にしていると、本当の不幸がやって来る…それなら幸せな出来事を人にたくさん話せば幸せがやってくる」などと単純な考えをしないことです。

そもそも幸せとか不幸という概念は、他人がいるから認識できるのです。

もしこの世に自分しかおらず、他人の存在が無かったら幸せの基準すら無くなってしまいます。

悲しいけど、他人はあなたが不幸になることは許しても、幸せになるあなたは許してくれません。この件については後で説明するとして、自分がやられて嫌なことは他人にもしないことです。

あなたが幸せを欲しがっているときに、他人から幸せな話を聞かされることが嫌なら、他人もやっぱり嫌なのです。他人の自慢話など誰も聞きたくはありません。

だから、あなたが幸せな話を人に聞いてもらうためには相手に報酬を与える必要があるのです。

たとえば、あなたに一万円の臨時収入が入って、そのいきさつを友人に聞いて欲しいのなら、食事に誘ってご馳走してあげることを前もって言っておくとか、おすそ分けをするなど、何かのメリットが必要です。

友達や恋人は、不幸を半減させ、幸せを2倍にしてくれますが、それでも、自分の幸せな話を他人に只で聞いてもらおうなんて考えが甘いんです。一度や二度なら聞いてもらえても、いつも幸せの自慢話ばかりしていたら他人は間違いなくあなたから離れていきます。

不幸な話はしてはいけないのに、幸せな話は報酬を与えなければ聞いてもらえない…

どこか納得のいかない話かもしれませんが、これが幸せになるコツなのです。

貧乏も不幸もある種の病気です。不幸な生活をしている人が幸福になるとか、貧乏な人が幸せになるには、これだけの労力と努力が必要なのです。

それだけ潜在意識の方向を軌道修正するのは大変なことだということです。

家で瞑想や自己暗示だけを繰り返している人にどうして自分が変えられるでしょうか?


●NIC成功法は「運」もコントロールする

先日、取引先の会社で昼休みになり、お世話になっている担当者の方と近所の定食屋で昼食を取ることになりました。
 
場所もオフィス街ですし、時間も正午ということでお店は満員です。

そのとき、丁度私たちの隣にスーツを着た男性と同じ会社だと思われるOLさんが定食を食べていました。
 
男性は、魚の定食を食べていたらしく、突然「痛てっ!…今日はほんとツイてないよ〜魚の骨が刺さったよ〜」と苦痛な顔で言うのです。

でも、彼は本当にツキがないから魚の骨が刺さったのでしょうか?

いいえ違います。
 
食べる前によく身をほぐし、骨を見つけていれば刺さっていなかったはずです。

なんでもかんでも悪いことを「運」のせいにするから「運」に見放されるのです。
 
悪いことをすべて「運」のせいにしていると、悪い運のパターン・ニューロンが確立してしまい、本当に「不運」を引き寄せてしまいます。
 
運が良くなりたければ、幸運のパターン・ニューロンを育てることです。
 
不幸は使えば使うほど不幸のパターン・ニューロンが活発になり、また不幸を引き寄せてしまうように、幸運は使えば使うほど幸運のパターン・ニューロンが育ち、幸運に感謝することでまた幸運を引き寄せます。

たとえば、財布の中の小銭が375円あったとして、コンビニで買い物をした際、支払 いの代金が1375円で、財布の中の小銭と支払いの際の代金が丁度になったときでも「おれって本当に運がいいよな〜」と、ほんの些細な幸せでも、きちんと認識するように心掛けるのです。そうすることで幸運のパターン・ニューロンは育っていきます。
 
自分の「運」を良くしたいのなら、「悪いことがあったら自分のせいにする。そして良いことがあったら自分以外のせいにする」ことです。

たとえ自分が頑張ったことでも、他人に自慢などせずに、時間をさかのぼるように振り返り、誰か貢献してくれた人を見つけ、心からその人のお陰だと思ってください。

この他人に対する感謝の気持ちが「感謝」というパター・ニューロンを育て、また人に感謝すべき出来事があなたに引き寄せられるのです。
 
誰かに感謝する出来事が起こるということは、あなたが困った時に助けてくれる誰かが現れるかも知れませんし、あなたが飛躍するために力になってくれる人が現れるかも知れません。
 
良いことがあって、その出来事を振り返っても、感謝すべき人がどうしても見つからなかったら、その時こそ「運」のせいにするのです。

「俺って本当に運がいいな〜」と……。
 
逆に、悪いことがあったら、反省の対象にしてください。つまり、自分のせいにするのです。その悪いことを二度と繰り返さないためです。

「この不幸は本当に避けることができなかったのだろうか?」と考えて、反省できる部分を見つけ、それを繰り返さないように心掛けるのです。
 
車の運転をしていて接触事故を起こしたとき、自分のせいにして反省できる人は同じ失敗を繰り返しませんが、「運」のせいにする人はまた同じ失敗を繰り返します。


●パターン・ニューロンの確立と減退

心理学者ヘップは、「反復した刺激作用を受けとることにより、ニューロンの間の情報伝達構造が促進される」と言っています。

これをNIC理論で解釈すると、「パターン・ニューロンは繰り返しの習慣によって育つ」ということになります。

今まで見てきてわかる通り、人は繰り返し同じ行動や外からの刺激に同じ反応をしていると、それが習慣になってしまいます。

他人に対する対応や配慮、そして普段あなたが無意識に使っている言葉や態度は、知らず知らずのうちにパターン・ニューロンを生成していたということです。

それでは、繰り返しの刺激によってパターン・ニューロンができる過程をわかりやすくジョギングにたとえて説明しましょう。

あなたは明日から毎日のジョギングを始ることにしました。

一日目、二日目と頑張って朝起きてジョギングに出かけます。

最初は頑張ってやっていたジョギングも何日も続けていると楽になってくるはずです。

このとき、毎朝ジョギングをするという習慣のパイプが毎日少しずつ太くなっていっている状態です。心なしかジョギングも楽になってきます。

そして3週間を過ぎるころには、習慣というパイプも太くてしっかりしたものになり、今度は雨天候などでジョギングができないときは、逆に何かをやり残したようなモヤモヤした気持になります。

ちなみに、習慣には「21日間の法則」というものがあり、同じことを繰り返し21日間つづけていると習慣になってしまうということです。

ダイエットにしても「21日間の法則」を考慮するなら、最初の取っ掛かりのときのコンディションは重要になってきますよね。

心が疲れて体内エネルギーが減退しているときに開始してもせいぜい3日坊主です。

最初はあまり長い目標を立てずに、とにかく21日間続けることを目標にして、21日分のコンディションが整ってからスタートすることです。

21日間つづけることができたら、あとは習慣という無意識の力があなたを手助けしてくれるようになります。

一方、できあがった習慣が減退するときは、その刺激がパターン・ニューロンに影響を与えなくなってから21日間と言われています。

これは、たとえば禁煙などを例に挙げると、煙草を吸わなくなってから21日間ということではなく、煙草をやめたあとで、もう煙草を欲しくなくなってから21日間ということです。

煙草を吸わなくなっても、まだ煙草を欲しがっている間は、パターン・ニューロンが活動している証拠です。

パターン・ニューロンがあなたに与えている影響の大きさによって減退する期間はまちまちですが、パターン・ニューロンが活動しなくなって21日間経てばもう大丈夫ということですね。

そして、パターン・ニューロンは繰り返しの刺激にだけ生成されていくのかというと、そうではなく、瞬時にできあがる場合もあるのです。

恐怖症なんかがそれにあたります。

たとえば、海で泳いでいて、足がつっておぼれかけた女性がいたとします。

そのとき彼女は死の恐怖を味わったとしたら、海という情報と死という情報を一瞬で結び付けてしまい、そのときの恐怖の度合いによってはとてつもなく太いパイプ(パターン・ニューロン)が出来上がってしまうのです。

ということは、「自分に必要なパターン・ニューロンを作ってしまえばいいのなら、荒療治のごとくその環境に飛び込んでしまえば手っ取り早い」と思われる方もいるのではないでしょうか?

たとえば、水恐怖症の人をプールへ連れていき、水の中を歩かせれば、一発で水恐怖を克服できる。そんなふうに考えた人もいるかも知れません。

しかし、本当の水恐怖症の人をいきなりプールの水の中に入れてしまったら、顔が真っ青になって嘔吐をはじめたり、恐怖のあまり数日間寝込んだりすることもあります。

だから催眠療法から生まれた成功法NIC理論では、系統的脱感作(徐々に段階を経て治していく)という心理療法を応用して、能力をつけるときには必ず「系統的」に行っていきます。

人が変化を起こすときにはこの「系統的」が重要なキーワードになります。


●経験によって定着するパターン・ニューロン

人は今の状況から変化をするとき、無条件で恐怖が伴います。

今のあなたから貧乏なあなたになるときも、逆にお金持ちになるときも、どちらに変化をするとしても必ず恐怖が伴うのです。

なぜなら、潜在意識は変化そのものを怖がるからです。

たとえば、溺れる恐怖が原因で水恐怖症になったとしても、一度恐怖症になってしまったら、今度は治るときにも恐怖が伴います。恐怖症のあなたが普段のあなたになってしまったら、今度は恐怖症ではないあなたになるときも恐怖が伴うというわけです。

だから、幸せなあなたになるときも、裕福なあなたになるときも、恐怖突入が不可欠だということです。

しかし、催眠療法では、潜在意識の性質を考慮するので、荒療治のような恐怖突入は行いません。

例を挙げると、たとえば、犬恐怖症を治すとき、まず催眠状態に導いたら、クライアントに広場をイメージしてもらいます。

催眠状態でのイメージには臨場感が伴うので、イメージとはいえ、いきなり目の前に犬を見せたりしたら、クライアントは恐怖のあまり顔が真っ青になってしまいます。

ですから、最初は数十メートル離れた所に犬をイメージしてもらい、徐々に犬が近づいてくると暗示します。

「犬が10メートルまで近づきました……さらに5メートルまで近づいてきた……」こんなふうに徐々にイメージ上の犬を近づけていくと、クライアントは恐怖の表情を見せたり、「怖い!」と声を出したりします。

そこでリラックスする暗示を入れてから催眠を解いて、少し休憩をしてもらいます。

クライアントが落ち着いたところで、再度、催眠状態に導いて、今度は5メートルから3メートルまで近づけて、2メートル、1メートルと近づけていき、最後に触れて抱き上げるぐらいまで系統的に練習していきます。

この技法をメンタル・リハーサルを利用した系統的脱感作(けいとうてきだっかんさ)と言います。


●ジャンプではなく背伸びで目標を達成する

会社組織の中でも、仕事の実力や人望などは段階を経て育っていきます。平社員が主任に、主任が係長に、係長から課長、そして部長、専務、社長というように、段階を経て出世する分には可能ですが、いきなり平社員が専務や社長になっても現実には勤まりません。ドラマや小説の世界にはあっても、現実的には不可能です。

その立場にならなければわからないことがあるように、ひとつ目標をクリヤーしなければ見えないものがあります。課長を非難ばかりしている係長が、課長になったとき、はじめて前課長が良くやっていたことを感心することは良くある話です。

これと同じように、いきなりジャンプをして欲しいものを手に入れようとするとだいたい失敗します。欲しいものはジャンプではなく、背伸びをして手に入れるのです。

たとえば、10メートルの飛び込み台からプールへ飛び込むとしても、3メートルの飛び込み台からも飛び込めない人が、10メートルから飛び込むイメージを繰り返してもなかなか飛べるものではありません。

まずは「3メートルから飛びこめる自分になる」そして「3メートルから飛びこめる自分から5メートルが飛びこめる自分になる」そして、「7メートル」「10メートル」と背伸びを繰り返し、最終的な願望を手に入れるのです。

つまり、ジャンプではなく、背伸びをして願望を手に入れるためのパターン・ニューロンをインプルーブすることが成功者への基本作業となるわけです。

パターン・ニューロンは鍛えなければ育たないので少しずつ鍛えていくのがコツです。パターン・ニューロンを作るまでがしんどいだけで、できてしまったらあとは勝手に成功者へと進んでいくようになります。

ちなみに、脳の機能の発達は生後5年と言われています。

それ以降は脳に新しい機能が備わることはありません。

筋肉と同じであとから新しい筋肉が備わることはないのです。

大人になったからといって、腕の筋肉の下に知らない筋肉がついてくるようなことはないですよね。

パターン・ニューロンを形成するためには、筋肉と同じで鍛えて育てるしかないんです。意図的にパターン・ニューロンを形成する場合、繰り返しの行動によって生成すること、そしてジャンプではなく背伸びをして手に入れることが重要です。


●成功の秘訣は秘密主義

個人のパターン・ニューロンがそれに基づいた生活環境を引き寄せるように、他人にも同じシステムが働いていることを理解しておかなければいけません。

あなたが頼りにしている人があなたの周りから居なくなったら困るはずです。居なくならないにしても、何かのきっかけで頼りにならなくなったら困るでしょ?

それと同じように、あなたが変化してしまうと周りの人たちは困るのです。あなたの周りの人があなたのパターン・ニューロンの一部であるように、あなたも他人 のパターン・ニューロンの一部です。

あなたが変わるということは、他人の心の安定を乱してしまうことに他なりません。

あなたが成功者になろうとしたとき、あなたがお金持ちになろうとしたとき、あなたが幸せになろうとしたとき、周りの環境はあなたの変化を意識的、無意識的に関わらず、必ず阻止しようとします。

ある女の子ばかりのグループがいました。

学生の頃からの友達で、社会人になって3年目のいまどきの女の子たちです。当時この子たちの生活は合コンが中心となっていて、異性との交流に明け暮れていました。

その中に小さい頃からいじめられっ子だった吃音症(きつおんしょう=どもり)の女の子がいたのですが、他の子が彼氏を取っ替え引っ替えしているのに彼女だけは彼氏がなかなか出来なかったのです。

それがある日の合コンで、バツイチ子持ちの男性と意気投合して交際を始めることになります。

このバツイチ子持ちの男性は会社を設立して間もない代表取締役です。小さい会社では あるけれど、いちおう成功の軌道に乗り始めていました。

吃音症の彼女は、誕生日を祝ってもらったり、クリスマスも泊りで出かけたりと、今までの経験には無かった幸せな生活が始まったのです。

するとグループの友達たちは、彼女の幸せを喜ぶどころか、「それって不倫と同じじゃな い! 子供いるんでしょ!」「そんなコブつき(子持ち)なんてやめなよ」「あんた将来の こと考えてんの !! 」などと言って、彼女の幸せを阻止しょうとします。
 
本人は「今までに無い幸せな毎日なの」と言っているのに「悪いことは言わないから止めときなよ。また別の人さがそ?」とアドバイスを装った妨害を始めるのです。

グループの子たちにとっては、吃音症の彼女が今まで通り不幸な子でいてもらわないと 困るんです。
 
自分たちに嫌な出来事があったとき、いつも自分より不幸な人間でいてくれた彼女が幸せになってしまうことを許さないのです。

〝人が変わる〞ということは、これだけ周囲に影響をもたらします。

もし、あなたが成功に向けて何か行動を起こそうとしたとき、あなたが良くなることを願っている家族ですら止めにかかるかも知れません。当然そこに悪気はありません。だから、家族や周囲の人たちに渾身の注意を払いながら慎重に変化をしていくのが理想 なのです。

そのためには、目標の達成が確実になるまで周りに告知しないことです。
 
目標を達成するために必要な人には仕方ありませんが、できるだけ周りに内緒にして、ひそかに行動することです。そうすることで、周りの抵抗を最小限に抑えることができます。告知するのは、自分の目標がほぼ手中に入り、誰も阻止できなくなってからでもいいと思います。 
 
 
【願望達成プログラム】
●願望達成シートの利用―書き出しの効果的な使い方

さて、ここからは願望を達成するための具体的な進め方について述べていきます。

ここで説明するものは、NICコーチングのカウンセラーが用いる願望達成シートを基にしたものです。

通常は、カウンセラーたちがメンタルリーダーとしてクライアントをなりたい自分へと導いていくときに使うもので、このカリキュラムに沿ってやるべき行動を明確にし、ひとつずつ実行することでクライアントをなりたい自分へと誘います。

ひとつ一つの工程を重要に捉え、冷静な判断を用いれば、ひとりでも充分に進行していけますが、もしあなたの身近に現実的な考え方をしてくれる協力者がいたらシートの作成を手伝ってもらってください。そうすることで無駄な労力や無駄な浪費を防ぎ、達成までの期間が大幅に短縮されるはずです。

まず、シートへの記入から始めますが、書き出しは、現在のあなたの思考を変化させるために行います。

これは「認知行動療法」の理論を応用したもので、簡単に説明すると、人はそれぞれが独自の潜在的思考パターンというものを持っています。

人は無意識の行動と同じように、常に独自の思考を繰り返しているということです。

極端な言い方をすると、物事の捉え方、考え方は人それぞれであり、うつ病の人はうつ病独特の思考パターンを持ち、成功者は成功者独特の思考パターンを持っているというのが認知行動療法の考え方です。

潜在的思考パターンは、本人は気付かないところで感情や行動に影響を与え、同じことを繰り返してしまいます。

そこで、起きた出来事を一度、紙に書き出し、そのときどんな思考の仕方をして、どう思ったかを紙の上で客観的に確認します。

そして考え方や行動を一度、別のものと変えてみるのです。

考え方や行動を変えてみた結果、物事に対する捉え方がどう変わったかを改めて確認していくことで、行動を起こすための合理的な判断や、第一歩を踏み出すためのモチベーションの生成を行っていきます。

また、手かせ足かせになっているものを明確にすることで確実に変化を遂げていくプログラムになっています。

面倒くさがらずに、ひとつ一つを真剣に考えて書き出してみてください。

筆を手にした瞬間があなたの第一歩になります。


●目標を設定する―第一ステップ

まず、目標の設定から始めます。

ただし、NIC成功法では「願望」と「目標」をきっちり分けて設定します。

「願望は漠然と目標は明確に」がキーワードになります。

たとえば、現在あなたはサラリーマンで、なぜか料理に自信があり、将来、飲食店を始め、ひいてはチェーン展開したいといった夢をもっていたとします。

ポイントは最終目標を明確にせず、方向性だけを定めることです。

あとで軌道修正ができるように細かい部分まではイメージしないのがコツなのです。

歌手を目指していた女の子が女優で大成功して、ブレイク後に歌手活動もするようになったという話は珍しくないですよね。

このように、最初から「居酒屋をチェーン展開する」といった突飛も無い願望をきっちり枠の中に入れてしまうのではなく、まずは背伸びをすれば見えるような現実的な目標を設定するのです。

あまりに果てしない願望を掲げすぎると、潜在意識は現実と願望のギャップに疲れてしまい、やる気をなくしてしまいます。

あなたが友達とキャッチボールをしていて、友達が届くか届かないかのギリギリの距離まで離れたとき、あなたは頑張って投げてみようと思います。しかし、2百メートルも離れてしまったら投げても届かないので投げる気持ちすら無くなってしまいます。潜在意識もこれと同じことを思うのです。

ずぶの素人がいきなり居酒屋をチェーン展開するなど現実には無謀以外の何ものでもありません。とにかく1件成功させることです。1件成功させることができたら、あとは同じことを繰り返すだけです。

チェーン展開は1件目を成功させたノウハウを持って2店舗目に挑み、さらに2店舗目を成功させたノウハウを持って3店舗目に挑むといった展開がセオリーです。ひとつ一つの成功体験がチェーン展開を成功させるための強みになっていくのです。

ここではまず「飲食」という方向性を決め、次に、目標となる「居酒屋」とか「懐石料理」とか、あなたがもっとも得意とするジャンルを絞り、ひとつのゴールとして設定します。

ただし、ここに書き出した目標は絶対のミッションとしてどんなことがあろうと途中で辞めずにやり遂げてください。

一度自分で決めた目標を途中で断念したら、その時点で負け癖がついてしまいます。

この負け癖を修正するには連続で成功体験を21回繰り返さなければ元に戻りません。

それぐらいの覚悟をもって、この欄に書き込んでください。

居酒屋をオープンするには今の自分にとって目標が大き過ぎると思ったら、「居酒屋系の店をオープン」という部分を方向性にして目標を少し下げればいいのです。それでも大きければ自分がやりたいジャンルの飲食店に勤め、「何があろうと1年間は勤め上げる」といったように、さらに下げればいいのです。

ただし、ここに書き込んだことは絶対にやり遂げなくてはいけません。大きな願望を達成するにはここが大変重要になってくるので、ただ単に紙に書き出すといった意識ではなく、何日かかってもいいから慎重に考えてこの欄に記入するようにしてください。


●リソースの確認―第二ステップ

次に、願望を達成するために必要なものをすべてはじき出していきます。

何をするにしても、まず何が必要で、何を用意しなければならないのか、情報の入手をやりますよね。

そこで、今あなたが持っているリソース(素材=能力)と、これから手に入れなければならないリソースを明確に書き出すことで、無駄が無くなり何から始めればいいかが明確になってきます。

たとえば、飲食店を始めるのなら、まず食べ物を商品として提供するための許可が必要です。

理想的なのは「調理師免許」といった国家資格が欲しいところですが、調理師免許を取得するためには、厚生労働大臣が指定する調理師養成施設を卒業するか、中学卒業後2年以上、飲食店等の調理に関わる業務に従事し、勤務先にて業務証明証を発行してもらったのち、都道府県知事が行なう試験に合格しなければいけません。

飲食に携わっていない人にはモチベーションが落ちてしまいそうなぐらい気の長い話ですが、これが現実です。

ちなみに、生ものを扱わないのなら、調理師免許まで取得しなくても「食品衛生管理」の資格があれば飲食店その他、食べ物を扱うための権利は得られます。(調理師資格、食品衛生管理資格の取得については年代ごとに変わる可能性がありますので詳細については専門機関にお問い合わせください)

そして、食品を扱う権利を取得したら、店舗の契約をして、改装工事を行い、さらに保健所の監査を受けて経営許可をもらわなくてはいけません。

保健所の許可が降りたら、食器類を揃え、万が一に備え「食品営業賠償共済保険」に加入しておくことも必要でしょう。

うまく居抜きで店舗が見つかれば内装工事費はかなり抑えられると思いますが、お客さんが安定するまで6カ月を見込むなら、内装工事にかかる費用以外に半年間の運営費も事前に準備しておく必要があります。

また、食材はどんなルートでどのように仕入れるかなど、核になる大事な部分ですから、調査のうえ慎重に契約を進めていきます。

飲食店を始めるにしても、ざっとこれだけの段取りが必要なんですね。

頭で思い描くのと、実際にやるのではまったく得(え)てが違うということです。

さて、願望達成シートに戻って、それを行うために必要なものをすべて調べたら、現在あなたが持っているリソースと持っていないリソースに分けて、行動の順番を付けていきます。

たとえば、資金はあるが飲食店を始めるにあたっての資格を持っていないというのなら、資格の取得から始めていき、資格はあるが資金が足りないというのなら、貯金や融資など資金の調達から始めていきます。

ちなみに、書き出した作業をひとつクリヤーするごとに、今まで見えていなかったことが見えてくると思いますので、そのつどリソースの欄に書き足してください。

あとから書き足した作業のほうが増えてしまうことも少なくありませんが、これは当たり前の話であって、物事を系統的にクリヤーしていくパターン・ニューロンが形成していれば問題ないはずです。

ひとつ作業が増えるごとにタメ息を着くようでは、まだ心の態勢が整っていないのです。現実を甘く見過ぎている部分を修正してください。


●価値の確認―第三ステップ

次に、あなたがそれを達成することによって、どんな成果が得られるのか、改めて考えておく必要があります。

あなたが行動派で、すぐに走り出すのはいいが、いつも失敗したり、途中でモチベーションが失速するようなことを繰り返しているのなら、「価値の確認」が甘いのかも知れません。

ただ単に「お金がたくさんあったほうがいいから」といったようなものでは、大抵の人が途中でモチベーションを落としてしまいます。

飲食店は始めたが、儲かり出すまでに日数がかかりすぎて飽きてしまい「おれは飲食店に向いてない。やっぱりブティックのほうがいいかもな…服には賞味期限が無いから腐らないし…」などと、価値の確認が甘いと途中でヨソの芝生が青く見え始めるのです。

ちなみに、成功者や偉人から「やってみてダメだったらやり直せばいい」という助言を聞いて座右の銘にしている人がいます。

思いきって行動を起こすためにはとても良い助言だと思いますが、その真意を履き違えている人もまた少なくありません。

たとえば、あなたが椅子を作って売ることを目標にしたとします。

そして行動を開始したのはいいけれど、想定以上の壁にぶつかるため、「これは本当におれがやることなのか?」と疑問を抱き始める。

そんなとき、椅子より机が大ヒットしていることを耳にして「いま椅子なんか作っている場合じゃない」といった衝動に襲われ、「椅子はやってみたけど俺にはダメだった。今度は机作りを一からやればいいんだ」と座右の銘を持ち出したりする。

こういった思いが襲って来たとき、あなたは怠慢という怪物に襲われています。

あなたはまだ何もやっていません。椅子はまだ作成途中のはずです。

これを途中でやめて、「やってみたけどダメだった」というのは怠慢に負けている以外の何者でもありません。だから動きだす前に、その目標を達成することへの価値を慎重に確認しておくべきなのです。

この工程を甘んじることなく慎重に行えば、途中で情熱が燃え尽きてしまうことはないはずです。

もし、あなたが誰かに認めてもらいたくてそれをするなら、そしてその気持ちが真剣なら、そのモチベーションは長続きすると思います。

人は本当に認めてもらいたい人物を見つけた時点で半分は成功したようなものです。

その目標を達成するための強力なねばり強さを手に入れたことになります。

ただし、憎しみを持った相手よりは、尊敬や崇拝の念を持った人に認めてもらおうとするほうが建設的かつ有効的です。

たとえば、別れた妻を見返してやりたくて成功者になろうとしているとします。この場合、瞬発力を発揮するには最高なのですが、相手の状況がめまぐるしく変わることがあります。

元奥さんを見返すつもりでいくつもの壁を乗り越えてきたものの、風の噂で「元奥さんが借金苦で不幸のどん底にいる」と聞けば、見返したい気持ちが減少する可能性もありますし、逆に「大金持ちと再婚してセレブな生活をしている」などと聞いたら、自分の目標では元奥さんを見返すに足りないことを知り、完全にやる気を失ってしまうことがあるからです。

それよりは、女優になりたいと願っているとしたら、劇団の仲間やお芝居を教えてくれた師匠など、リスペクトできる相手に認めてもらうことを価値として設定したほうが間違いありません。

リスペクトしている人はその人間性を尊敬しているのに対し、憎しみを持った相手は、人間性ではなく、状況を見ているからです。人の状況というのはじっと留まってはいませんよね。

その相手の状況が変化するたびにあなたのモチベーションも変化することを考えるなら、憎しみを持った相手より、リスペクトできる相手が適しているというわけです。

もし、あなたがネットビジネスで成功したいと思っているとして、どこかの教室に通っているのなら、それはそれであなたの頑張りを見守っていてくれる人たちがいるので、とても有効です。このNICコーチングをスクールにしたのもこの部分を尊重してのことなのです。

人は誰も見ていないところで頑張り続けることができません。

少しの間は頑張れても、自分の願いが叶うまで頑張り続けるには、見ていてくれる仲間が必要なのです。


●実行途中での変化の想定―第四ステップ

目標を達成する過程で自分にどんな変化が起こるのか、さらには、周りがどのように変化していくのか、思いつく限りすべて書き出します。

ここではポジティブなものと、ネガティブなものの両方を書き出すのですが、どちらかといえば、ネガティブなほうをしっかり見据えて書き出すことが肝心です。

というのは、「幸せになる」「裕福になる」「家族が喜ぶ」など、ポジティブな変化はある程度想定通りになりますし、想定外でも目標達成にはほとんど影響ありません。

しかし、友人を失ったり、家族との時間が減るなど、ネガティブなことは、実際に起こるたびに行動力を失う原因になります。

目標を達成するために大切なのは、何よりも最悪のことを想定内に入れることです。

たとえば、先ほどの飲食店経営なら、資金と半年分の運転資金を要したにも関わらず、「まったく利益を挙げられずに半年で潰れてしまうかも知れない」といったことや、さらに「店がつぶれたことがきっかけで夫婦仲が悪くなるかも知れない」と、本当に最悪のところまで想定して、それでも「やる価値がある」と心の底から思えたらそのミッションは成し遂げることができます。あなたの潜在意識にはそのミッションを最後までやり抜く覚悟ができているからです。

このように、他の成功法が成功イメージを重視する中、NIC成功法では失敗イメージを重視します。

ちなみに、私がショップなどの立ち上げでコンサルティングをするとき、「万が一、店が半年で倒産したとき、半年間に使った資金がまったく返って来なくても諦められますか?初めての事業はやってみないとわからないから最悪のこともあるんですよ」と言います。こう言うと、資金を大事に使うようになります。

初めて事業を開始する人は、本格的に動き出すと、忙しさと不安で金銭感覚が麻痺してしまい、無謀なお金の使い方をする人が少なくありません。

だいたい半年やれば先が見えてきます。半年経って、プラスの兆候が見えないようならまずやっていけないと思います。

資金が底をついたところで、気が付いたらすでに800万円の損害を出していたとします。そこであなたがそのお金を諦められるかどうかです。

この800万円が諦めきれずに、運転資金をいろんなところから借金して首が回らなくなり、家も家族も失った人を私は何人も見てきました。

「最悪のことを想定する」これはミッションを行う上で何よりも大切な事かも知れませんね。


●制御要因の見極め―第五ステップ

ここで目標を達成するために、あなたの行動を制御しているものを明確にしていきます。

あなたが問題なく行動できるのならいいのですが、うまく行動できないときはこの工程を重大に捉え、手かせ足かせになっているものを追及してください。

たとえば、「事業を開始するための資金は用意できたが、子供がもう少しで大学を卒業するので、それまで何かあって子供に迷惑がかかることが心配なんです」と言う人がいたとします。

それが本当に子供のことを心配してのことなのか、それとも事業を開始するのが不安なために、子供の学校のことを言い訳にしているのか、自分の心と良く話し合ってみることです。

ときに、催眠を使って本人に自問自答させてみると、思いもよらぬ心の一部分に気づき驚く人もいるようです。

表向きは「良い立地が見つからないからまだ動けない」とか「もう少し仕入れ値を安くできたらいいんだけどね」といった話をしている人が、催眠で心を静め、自分の心に問うてみると、「俺が成功したら、可愛くない嫁も良い思いをしてしまう……可愛くない嫁に金をやりたくない……いま渡している給料以外は1円もやりたくないんだ……」などといった深層心理が顔を出すことだってあります。

こういった場合、価値の確認までフィードバックして、「本当にやるべきかやらぬべきか」を今一度再検討したほうがいいでしょう。

ここで、自分の願望を見直さなければならなくなり、面倒くさいと思うかもしれませんが、自分の深層心理に気づかず動き出した場合、離婚を余儀なくして、可愛い子供と離れ離れになって辛い思いをする可能性だってあるんです。

自分の潜在意識が離婚の方向に導いていたにも関わらず、あらゆる原因を持ちだし、奥さんのせいにしたり、お金のせいにしたりと、成功を夢見たがゆえに家庭を崩壊してしまうことだってあるんです。

この工程で深く追求した結果、家庭崩壊という最悪の状態も視野に入れることができたことを良かったと思うべきです。

また、この工程での最大のポイントは「現実に基づいて行動を考える」ということです。

ある主婦は、ご主人の収入だけではやっていけず、マッサージ店でアルバイトをすることになりました。

1年ほど勤め、マッサージの技術も身についたところで、彼女は自分の店を持ちたいと思い始めます。

周りの主婦たちは、彼女が夢を語っているだけだと思っていたのですが、彼女の行動力は凄まじく、わずか数カ月で本当に自分の店をオープンしてしまいました。

しかし、彼女の主婦仲間に霊感が強く「霊が見える」という人がいて、「このままマッサージの世界で仕事をしていると、命を削ることになり、10年もしないうちに死んでしまう」と助言するのです。

どこにでもいる自ら「霊感がある」と主張して卑怯な人間関係を築く人ですね。

彼女がマッサージ店を夢見ているときには「頑張ってね」とか「あなたなら出来るよ」などと言っていたはずの霊感主婦が、彼女が本当にマッサージ店をオープンすると「10年後には死ぬ」などと言い始める。妬み以外の何ものでもありません。

妬みとわかっていても、元々霊や占いに影響を受けていた彼女はこの主婦の言動を気にしてしまいます。

それでもマッサージ店を閉めるわけにもいかず、私に相談してきたのですが、そう言えば私も今から20年ほど前に自称霊媒師と名乗る人から同じことを言われた経験があります。

そこで私が「はい、私は最初から命を削るつもりで目標に向かっているので…」と言い返すと、気分を悪くしたのか機嫌が悪そうな面持ちになり、「あとで後悔しないように」と言われました。でも、私はまだ生きていますしバリバリ仕事をしています。

当然、暗示の仕組みを知っている私は気にもしませんが、それよりその自称霊媒師が妬みに左右されて「こんなことまで言いに来るんだ」と、ある意味かわいそうになったことを覚えています。

本気で目標を達成しようと思うのなら、自分でコントロールできない部分は作らないようにしないといけません。そのためには現実から足を離さないことです。

現実から離れた部分を1ミリでも作ってしまうと、プロジェクトがそこで止まります。

プロジェクトが止まった瞬間からモチベーションが失速していきマイナス要因ばかりが頭を過るようになります。現実から離れた空間は怠慢の寄り所だからです。

世の中にはたくさんの成功法がありますが、どんな素晴らしい理論をこじつけた成功法も、この現実から離れた要素が1ミリでも入っていたら、その成功法で目標を達成するのは難しいでしょう。

もしあなたが、現実ではないことに心が影響されたとしても、行動は影響されてはいけません。

目標を達成するまでの間に何度もスピリチュアル的な不安に襲われると思いますが、不安はそのままにして行動はミッションを追行してください。

別に霊や占いを信じるのはいいんですよ。私も墓参りにも行きますし、葬式でも言われるままに行事に従って行います。

本当は手相とか占いに多少影響されているぐらいのほうが日常生活は楽なんです。

ただし、目標達成のプログラムを行っている間は別です。

できればひとつのミッションが終わるまで宝くじも買わないでください。

心のどこかで「この宝くじさえ当たれば苦労しなくていいんだ」といった思いは、ミッションの実現を遅らせる原因になり、やがてはモチベーションの失速にも繋がっていきます。

現実から足を離さなければ必ず願望は達成されます。

「諦めなければ夢は必ず叶う」は、現実から足を離さなかった人に唯一用いられる言葉です。

NIC成功法の他と違うもっとも特徴的な部分は、この「現実に基づいて行動を考える」という部分です。

多くの方が子供のころからスピリチュアル的な影響を受けて育ちます。

縁起ばかり担(かつ)ぐ親に育てられた子供は、存在しないものにとらわれて、大人になってからも行動範囲を極端に制御されてしまいます。必要以上に縁起を担がない親に育てられた子供と比べたら行動範囲に雲仙の差が出てきます。

子供のときの深い意識に入れられた霊的な観念は、取り払うのが非常に難しく頑固です。

それでも、このとらわれから解放されなければ足かせは外れません。

こういったとらわれがあまりひどい人は社会に適応するのが辛くなり、心の病気として扱われることもあります。

それだけとらわれを改善するのは大変な作業といえるのです。

右に行けば宝があるというのに、目の前を黒い猫が横切ったからといって左へ行く。

もし本当に「黒い猫が目の前を横切ったら不吉なことがある」というのなら、黒猫を飼っている人は毎日不吉なことのオンパレードです。

でもそんな事実はないですよね。「そんなことはわかっている、わかっているけど治らない」それがとらわれです。

この部分を治さない限り成功はあなたの目の前でいつも逃げていくでしょう。

でも、このとらわれを改善して目標に向かえば間違いなくあなたは願望を手にできるのです。

とらわれは本人が生きていくために障害になってなければまったく改善する必要はありません。

また、占いや手相にしても、良い霊媒師や良い占い師にめぐり逢えば、人生を好転させてくれることも珍しくないでしょう。

しかし、確実な成功法を実行するには、スピリチュアル的な考えはひとまず横に置いておく必要があります。

「現実に基づいて行動を考える」

この信念が一度しかないあなたの人生を有意義なものにしてくれるのです。

NIC成功法は、まぐれで成功を手に入れるようなものではなく、確実に願望を達成する願望達成法です。成功者としてのパターン・ニューロンが生成できたらあとは成功者としての人生を歩んでいくだけです。

イメージや自己暗示といった成功法を売りにしている自己啓発の餌食になっている時間などありません。

人生は一度しかないのです。
 

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